育児・介護休業法 改正のポイント
育児・介護休業法 改正のポイント
令和3年6月に改正された育児・介護休業法について、従来の制度からどのように変わったのか、ここでは育児休業に焦点を当て、3つのポイントをご紹介します。
◆育児休業に関する環境整備や周知・意向確認の義務化(令和4年4月1日~)
労働者が育児休業を取得しやすくするため、2つのことが義務付けられます。1つ目は規模を問わず全ての事業所に対し、育児休業に関する研修や相談窓口の設置等を行うこと。2つ目は、現在は努力義務となっている、妊娠や出産の申出をした労働者(本人または配偶者)に対する育児休業取得の意向確認措置です。つまり、事業所側は労働者から妊娠や出産の報告を受けた場合、男女問わず必ず育児休業制度について個別に説明し、育児休業を取得するか否かを確認しなければなりません。具体的な方法としては、面談や書面による情報提供などが挙げられます。場合によっては、担当者向けに知識習得のための研修が必要になることも考えられます。
◆有期雇用労働者の育児休業取得要件の緩和(令和4年4月1日~)
これまで、有期雇用労働者(パート・アルバイト・契約社員等)が育児休業を取得する際には以下の2点を満たす必要がありました。
①引き続き雇用された期間が1年以上
②子どもが1歳6ヶ月までの間に契約満了することが明らかになっていない
令和4年4月1日からは、①の要件が撤廃されることで、雇用形態に関わらず労働者が同様の条件で育児休業を取得できるようになります(ただし、別途労使協定等が締結されている場合この限りではありません)。取得要件の緩和によって、妊娠や出産を理由とする労働者の離職を防止する効果が期待されます。
◆出生直後の育児休業取得が柔軟に ―男性版産休―(令和4年10月1日~)
日本における男性の育児休業取得率はいまだ低く、育児の負担が女性に偏っている状況が課題とされてきました。今回の改正には、大きな目的の1つとして「男性の育児休業取得推進」が掲げられます。新制度の「出生時育児休業」は、子どもの出生後8週間以内において4週間まで2回に分割して取得することができます。申出期限は原則、休業の2週間前までです。申出期限が取得の1ヶ月前までである現行制度に比べ、出産予定日が変更になる場合にも対応できるメリットがあります。
また、これまで育児休業は1回のみの取得であり、分割ができませんでしたが、今回の改正で女性も男性も分割して2回まで取得できるようになります。なお、上記の「出生時育児休業」とは別に取得が可能なため、男性は実質4回分割して取得することができます。夫婦それぞれの仕事の都合で育児の交代時期を決めるなど、柔軟に休業開始日を設定することが可能となります。
改正により、柔軟に育児休業が取得できるようになる一方で、事業所はその申出に関して回数や期間の管理・社会保険関連の手続きが必要になります。また、就業規則(育児・介護休業規程等)の変更も広範囲にわたることが考えられますので、改正点を早めに押さえて対応を検討することが求められます。お困りの際は、お気軽に弊社までご相談ください。